2023年3月7日火曜日

宍塚のトンボ・2022年

 2022年に、土曜観察会などで見かけた宍塚のトンボは、22種。2021年が21種だったので、微増。なお、これまで、宍塚で観察されたトンボは60種で変らず。

 2021年は、チョウトンボなどを見ることができなかったが、2022年は、大池のトンボは、それなりに見ることができた。これは、アメリカザリガニによるヒシなどの食害が、減ってきたことによると思われる。

※すでに、アメリカザニガニとアカミミガメについては、生態系被害防止外来種に指定されているが、2023年6月1日から、条件付特定外来生物に指定される。

 条件付となったのは、両種とも、飼育者がとても多い生きものであり、単に特定外来生物に指定して飼育等を禁止すると、手続きが面倒などの理由で野外へ放す飼育者が増えると予想され、かえって生態系等への被害を生じるおそれがあるため。


【2022年記録種】ホソミオツネントンボ、オオアオイトトンボ、クロイトトンボ、オオイトトンボ、アジアイトトンボ、ギンヤンマ、クロスジギンヤンマ、ウチワヤンマ、オニヤンマ、オオヤマトンボ、チョウトンボ、ナツアカネ、ノシメトンボ、アキアカネ、マイコアカネ、コシアキトンボ、コフキトンボ、ショウジョウトンボ、ウスバキトンボ、シオカラトンボ、シオヤトンボ、オオシオカラトンボ

  
チョウトンボ
  
ショウジョウトンボ
By yamasanae


2022年4月5日火曜日

宍塚のトンボ・2021年

  2021年に、土曜観察会などで記録した宍塚のトンボは、21種。2020年が26種だったので、やや少な目。

 数年ぶりに、ハグロトンボを記録したものの、チョウトンボなどを見ることができなかった。

 チョウトンボやイトトンボの類のうちには、チョウトンボをはじめとして、クロイトトンボやオオイトトンボなど水草に産卵する種が多く見られるので、ここ数年のアメリカザリガニによる水草の食害、外来魚の大量繁殖にヤゴの被害などの影響が心配される。

【2021年記録種】 ホソミオツネントンボ、オオアオイトトンボ、ハグロトンボ、オオイトトンボ、アジアイトトンボ、サラサヤンマ、ギンヤンマ、ウチワヤンマ、オニヤンマ、オオヤマトンボ、ナツアカネ、ノシメトンボ、アキアカネ、マイコアカネ、コシアキトンボ、コフキトンボ、ショウジョウトンボ、ウスバキトンボ、シオカラトンボ、シオヤトンボ、オオシオカラトンボ

    


宍塚の蝶・2021年

記録種数(成虫)

 五斗蒔だよりに掲載された2021年の記録種数(成虫)は、昨年と同様に56種となっている。月別に見ると、5月が最多で、39種を記録している。

  昨年見られなかった、ギンイチモンジセセリ、久しぶりのミスジチョウ、アサギマダラが記録された一方、ずっと記録されてきたゴイシシジミ、ウラナミアカシジミ、昨年、初記録だったクロミドリシジミを見ることができなかった。


 ゴイシシジミについては、笹の葉裏のアブラムシを見てみたりして、皆で、一所懸命、探したのに、残念でした。

 

2022年4月4日月曜日

ミヤマセセリ 深山挵蝶

Erynnis montana 
セセリチョウ科
チャマダラセセリ亜科
ミヤマセセリ属

 成虫を見ることができるのは、3月から4月。年1化。
 卵から5月ころ幼虫となり、幼虫越冬で、翌年、春早く蛹になり、また、3月から4月に羽化して成虫へ。
 食草は、ブナ科のコナラ、クヌギなど。宍塚ではよく見られる樹木。残念ながら、卵の写真はなかったので、募集中。
 2022年は、3/27にSa-kaさんが初認。


  
♀は、前翅に白い帯状の模様がある
  
 
2~3齢の幼虫
 
4齢ほどの幼虫
By Yamasanae


2021年1月18日月曜日

宍塚の蝶・2020年

 宍塚の蝶・2020

1. 記録種数(成虫)

五斗蒔だより※1 に掲載された2020年の記録種数(成虫)は56種と例年なみであるが、今年は、久しぶりに新種が記録された。井上大成氏により、6月にクロミドリシジミ(茨城県・準絶滅危惧種)を採集したと報告があったのである※2(五斗蒔だより20211月号で既報)。日本産ゼフィルス※3 25種の1種で、この記録により、宍塚では、このうち7※4 が記録されたことになる。

一方、毎年のように見ることができていたギンイチモンジセセリ、オオウラギンスジヒョウモン(いずれも茨城県・絶滅危惧Ⅱ類)などが見られなかったのは残念である。また、ここ数年アサギマダラが確認できず、寂しい気がする。

成虫は確認できなかったものの、オオムラサキ(茨城県・絶滅危惧Ⅱ類)やオオミドリシジミは、幼虫が確認されている。

なお、茨城県に分布する蝶は約110種とされている※5 ので、2020年の一年で、その半数ほどの蝶を観察できたことになる。

2. 月別の観察種

ここ数年と同様に、6月が43種と一番多くなっている。

1月、2月にも記録があるが、成虫越冬する種が存在するためである。

3.  次に期待される種

1979年以来※6 、宍塚の里山で記録された種は72種にのぼっており、今年のクロミドリシジミのほか、近年では、2014年にアカボシゴマダラ(特定外来生物)、2016年にオナガアゲハ、2017年にツマグロキチョウ(茨城県・絶滅危惧ⅠB類)が記録されている。

さて、次に観察が期待される種はなんであろう。

初記録では、シジミチョウ科のコツバメではないだろうか。春先の短い期間に出現。幼虫の食餌植物はアセビ、ヤマツツジ、ガマズミ、ボケなどで、つぼみを食べるらしい。

里山さわやか隊が手入れをしてくれて、環境が変って、すっかり明るくなったゼフィルスの森付近のヤマツツジ辺りで、ジュウニヒトエが咲く頃に、吸蜜しているのが見つかるかも知れない。(写真は、箱根で見た個体


一方、当初の調査以来記録されていないアオバセセリ、ミヤマカラスアゲハなども見てみたいものである。

いると思って探せば、きっと見つかると信じて・・・

Yamasanae 


    2020年に観察された蝶

【セセリチョウ科】ダイミョウセセリ、ミヤマセセリ、コチャバネセセリ、キマダラセセリ、オオチャバネセセリ、チャバネセセリ、イチモンジセセリ、【アゲハチョウ科】ジャコウアゲハ、アオスジアゲハ、アゲハ、キアゲハ、ナガサキアゲハ、クロアゲハ、カラスアゲハ、【シロチョウ科】ツマキチョウ、モンシロチョウ、スジグロシロチョウ、キタキチョウ、モンキチョウ、【シジミチョウ科】ウラギンシジミ、ゴイシシジミ、ムラサキシジミ、ムラサキツバメ、ウラゴマダラシジミ(茨城県・準絶滅危惧種)、アカシジミ、ウラナミアカシジミ、ミズイロオナガシジミ、クロミドリシジミ(茨城県・準絶滅危惧種)、ミドリシジミ、ベニシジミ、ヤマトシジミ、ツバメシジミ、ルリシジミ、ウラナミシジミ、【タテハチョウ科】テングチョウ、ヒメアカタテハ、アカタテハ、キタテハ、ヒオドシチョウ、ルリタテハ、メスグロヒョウモン、ミドリヒョウモン、ツマグロヒョウモン、コミスジ、イチモンジチョウ、アサマイチモンジ、ゴマダラチョウ、アカボシゴマダラ(特定外来生物)、コムラサキ、ヒメウラナミジャノメ、コジャノメ、ヒメジャノメ、ジャノメチョウ、クロコノマチョウ、ヒカゲチョウ、サトキマダラヒカゲ 56

 

参考 茨城県版レッドデータブック2016年改訂版P122以下

「チョウ目のうちチョウ類では,南方系種で本来本県では生息が確認されなかったムラサキツバメ,ナガサキアゲハ,ツマグロヒョウモンなどが近年本県に定着し,一方ではチャバネセセリ,クロシジミ,スジボソヤマキチョウ,ツマグロキチョウ,各種ゼフィルス類などは絶滅の危機に瀕している。県内に分布する約 110 種の中から 33 種を選定したが,初版時より 12 種も増えている。なお,ウスバアゲハ(ウスバシロチョウ)は福島県方面からの自然拡散で本県の八溝山周辺にも侵入してきた。」



※1 宍塚の自然と歴史の会会報 五斗蒔だより各月に見られたチョウ(佐藤和明ほか)

※2 水戸昆虫研究会会誌「るりぼし」49号(202012月)

※3 ゼフィルスとは、樹上性のシジミチョウの仲間。会の森の名称の由来でもある。

※4 ウラゴマダラシジミ、アカシジミ、ウラナミアカシジミ、ミズイロオナガシジミ、オオミドリシジミ、クロミドリシジミ、ミドリシジミ

※5 茨城県版レッドデータブック2016年改訂版P122

※6 1979から1994年までにわたりおこなわれた観察結果をまとめた宍塚大池地域自然環境調査報告書11章「宍塚大池地区のチョウ」(199511月、及川ひろみ、松井安俊)、及び、それ以降の五斗蒔だよりの記録(及川、村山、久保木、佐藤ら)



2019年12月24日火曜日

宍塚のトンボ・2019年12月現在

 宍塚のトンボ 概要 (2019年現在)

1 1995年の「宍塚大池地域自然環境調査報告書」

 トンボの項目については、涸沼イトトンボの発見者の一人である廣瀬誠氏が、「宍塚大池のトンボ」と題して、代表的な種の幼生期の生息環境、及び、トンボ相の変貌について記している。

 この中で、1995年の田辺 助氏の研究発表のリストとあわせて、49種のトンボをリストアップしているが、そのうち、流水域のトンボ11種であるのに対して、38種が止水域のトンボであり、宍塚大池が止水性の池沼として、トンボにとって豊かな生育環境があるとしている。

 報告書の最後に、広瀬氏は、外来魚によるトンボ幼虫の食害への懸念と、宍塚の里山の環境の維持への期待を記している。

2 2012年の「茨城県におけるトンボ目の採集・撮影記録」茨城県自然博物館研究報告、二橋ほか

 日本のトンボの記録は、203種となっているが、南方のトンボなどが多く、比較とはならないと考えられる。(日本産トンボリスト 参照) これに対して、茨城のトンボの記録は、宍塚のトンボを考えるに際して、参考になると考えられる。

 さて、上記の報告によると茨城県のトンボの記録は、91種とされるが、すでに、絶滅と考えられるメガネサナエ、オオキトンボ、ベッコウトンボの3種、南方からの飛来種、ベニイトトンボなど、確実な発生地が知られていない種を除く、80種が茨城県で確実の定着しているトンボと考えられるとしている。

 また、これらの記録のうち、宍塚での記録のある種は、40種にのぼっており、県内でも有数のトンボの産地となっていると考えられる。(茨城のトンボ 参照)

3 観察会などの記録

 宍塚大池地域自然環境調査報告書における49種に加えて、上記の「茨城県におけるトンボ目の採集・撮影記録」及び宍塚の自然と歴史の会の発足以降、観察会などで新たに記録された種は10種 にのぼっており、全部で59種が記録されたことになる。(宍塚のトンボ29種 参照)

【「採集・撮影記録」で、オゼイトトンボ、オオギンヤンマ、ナゴヤサナエ、ヒメアカネの4種、観察会などで、コオニヤンマ、ホンサナエ、ヤマサナエ、キイロヤマトンボ、コノシメトンボ、ミヤマアカネ、ハッチョウトンボの7種】

 サナエ類など流水性のトンボや汽水域のトンボ、南方からの飛来種などは、宍塚の環境から記録が出にくいことを考えると、59種の記録により、宍塚の近辺で見られるトンボはほぼ網羅していると考えられる。

 また、このうち、最近10年で記録された種は、40種となっており、茨城県で定着しているトンボ80種の5割ほどが記録されていることになる。

4 近年の消長

 ここ数年ほどは、毎年25種ほどトンボが記録され、30年前の発足当時と同じくらいのトンボが記録されている。

 ここ10年では、宍塚初記録となった、オゼイトトンボ、ナゴヤサナエ、キイロヤマトンボ、ハッチョウトンボ、長い間、見られていなかったカトリヤンマ、マルタンヤンマ、コオニヤンマ、トラフトンボ、リスアカネも記録されている。

5. 緑の島として

 ハッチョウトンボは、五斗蒔谷津の復田(茨城大学・黒田ゼミ)やイナリヤツ湿地の保全プロジェクトなどにより、ハッチョウトンボの好む環境作られたことも影響していると考えられる。久しぶりに観察されたカトリヤンマ、マルタンヤンマなどは谷津の近辺のわずかな湧水による小さな水溜まりでほそぼそと生き残ってきたのかも知れない。

 初記録や久しぶりのトンボの全てが宍塚産とは思えないが、前に、廣瀬氏が指摘していたように、宍塚大池が、近辺の池沼、あるいは、河川とつながり、移出入しているとも考えられる。近隣の田んぼの乾田化など、環境の悪化によるトンボの移出入の可能性も考えられる。

 宅地の進展による湧水の枯渇、外来生物の問題、ヒシやハスによる富栄養化など問題は山積であるが、宍塚の里山は、水を蓄え、生きものを育てる緑の島としての役割を果たすことが期待される。

Yamasanae

文献

 廣瀬 誠 1995 宍塚地域自然環境調査報告書 P129~「宍塚大池のトンボ」

 二橋 亮、山中武彦、植村好延、久松正樹 2012 茨城県自然博物館研究報告 第15号別冊「茨城県におけるトンボ目の採集・撮影記録」

 井上 清、谷 幸三 2001 「トンボのすべて」改訂版 トンボ出版

 尾園 暁、川島逸郎、二橋 亮 2012 「日本のトンボ」文一総合出版

 宍塚の自然と歴史の会・会報 「五斗蒔」各号の記録など


宍塚のトンボ 59 

種和名

科名

2016
茨城RL

2019
環境省RL

記録
回数

オツネントンボ

アオイトトンボ科

絶滅危惧Ⅱ類

 

1

ホソミオツネントンボ

アオイトトンボ科

 

 

6

アオイトトンボ

アオイトトンボ科

 

 

5

オオアオイトトンボ

アオイトトンボ科

 

 

14

ハグロトンボ

カワトンボ科

 

 

8

モノサシトンボ

モノサシトンボ科

 

 

2

オオモノサシトンボ

モノサシトンボ科

絶滅危惧ⅠB

絶滅危惧ⅠB類(EN

7

キイトトンボ

イトトンボ科

準絶滅危惧

 

5

オゼイトトンボ

イトトンボ科

準絶滅危惧

 

1

オオセスジイトトンボ

イトトンボ科

絶滅危惧ⅠA

絶滅危惧ⅠB類(EN

1

クロイトトンボ

イトトンボ科

 

 

8

セスジイトトンボ

イトトンボ科

準絶滅危惧

 

1

オオイトトンボ

イトトンボ科

 

 

6

モートンイトトンボ

イトトンボ科

準絶滅危惧

準絶滅危惧(NT

1

アオモンイトトンボ

イトトンボ科

 

 

6

アジアイトトンボ

イトトンボ科

 

 

16

サラサヤンマ

ヤンマ科

準絶滅危惧

 

13

ミルンヤンマ

ヤンマ科

 

 

1

アオヤンマ

ヤンマ科

準絶滅危惧

準絶滅危惧(NT

11

カトリヤンマ

ヤンマ科

 

 

3

マルタンヤンマ

ヤンマ科

 

 

2

ヤブヤンマ

ヤンマ科

 

 

1

マダラヤンマ

ヤンマ科

準絶滅危惧

準絶滅危惧(NT

1

オオルリボシヤンマ

ヤンマ科

 

 

1

ギンヤンマ

ヤンマ科

 

 

15

クロスジギンヤンマ

ヤンマ科

 

 

5

オオギンヤンマ

ヤンマ科

 

 

1

ウチワヤンマ

サナエトンボ科

 

 

14

コオニヤンマ

サナエトンボ科

 

 

3

コサナエ

サナエトンボ科

 

 

1

ナゴヤサナエ

サナエトンボ科

準絶滅危惧

絶滅危惧Ⅱ類(VU

1

*ホンサナエ

未確認で削除

ヤマサナエ

サナエトンボ科

 

 

2

オニヤンマ

オニヤンマ科

 

 

15

トラフトンボ

エゾトンボ科

準絶滅危惧

 

3

エゾトンボ

エゾトンボ科

 

 

1

オオヤマトンボ

ヤマトンボ科

 

 

16

キイロヤマトンボ

ヤマトンボ科

絶滅危惧Ⅱ類

準絶滅危惧(NT

1

コヤマトンボ

ヤマトンボ科

 

 

2

チョウトンボ

トンボ科

 

 

18

ナツアカネ

トンボ科

 

 

17

リスアカネ

トンボ科

絶滅危惧Ⅱ類

 

2

ノシメトンボ

トンボ科

 

 

18

アキアカネ

トンボ科

 

 

17

コノシメトンボ

トンボ科

準絶滅危惧

 

2

ヒメアカネ

トンボ科

絶滅危惧Ⅱ類

 

1

マユタテアカネ

トンボ科

 

 

1

マイコアカネ

トンボ科

 

 

14

ミヤマアカネ

トンボ科

準絶滅危惧

 

1

キトンボ

トンボ科

絶滅危惧ⅠB

 

2

コシアキトンボ

トンボ科

 

 

19

コフキトンボ

トンボ科

 

 

12

ハッチョウトンボ

トンボ科

準絶滅危惧

 

1

ショウジョウトンボ

トンボ科

 

 

15

ウスバキトンボ

トンボ科

 

 

12

ハラビロトンボ

トンボ科

準絶滅危惧

 

5

シオカラトンボ

トンボ科

 

 

20

シオヤトンボ

トンボ科

 

 

10

オオシオカラトンボ

トンボ科

 

 

13

ヨツボシトンボ

トンボ科

準絶滅危惧

 

7

59

 

21

7

59

下記①の記録に、②及び③の記録を加えて作成(2019813日現在)         

① 宍塚大池地域自然環境調査報告書 1995 49                                                             

② 茨城県自然博物館研究報告 第15号別冊(201212月)                                                          

  「茨城県におけるトンボ目の採集・撮影の記録」  中、宍塚での採集記録40種                                  

③ 各年の観察会などにおける追加記録