2015年6月15日月曜日

2015/06/15 根本さんの甲虫ノート

6月15日(月)晴れ時々曇り 17℃~30℃
 写真は全てが添付されているわけではないようです。

 何んといっても今日はいろいろなことがあり、喜んでいいのやら悲しんでいいのやら何とも言い難い日だった。
 今日も目的は宍塚川入り口付近の太いクヌギの伐採木だ。今までの経験から言うと、梅雨入りしてからの採集というのは予測のつかないことが多い。6月~7月は一番甲虫の出が多い時期なのだが、天気が悪くなかなか行ける日がない。甲虫も飛ぶための後翅が濡れるのは嫌なので、雨の日は樹洞や葉の裏などに隠れてしまうので、行くだけ無駄だ。たまに晴れても、こちらのスケジュールが合わないことも多く、イライラする季節だ。私が会員をしている美術団体も9月1日から上野の都美術館で団体展をやるので、色々と夏場は忙しく大変だ。
 やっと梅雨の合間の晴れとなったので、大池に行ってきた。まずは、いつものように宍塚バス停から大池に入る。これがAM10:30くらいの事だ。いつものようにバス停から50m程の大池入り口付近へ行くのだが、その手前の民家の塀に止まっているラミーカミキリに出くわした。(写真Ⅵ1-2)
  
 何しろ今まで茨城県内でラミーカミキリを見たことがなかったので、かなり驚いた。それでも、リュックからネットを取り出し慎重に捕まえた。ラミーはすぐに飛ぶので気を付かないと駄目だ。型もよく、色彩も少し青みがかったなかなかの個体だ。相模湖、藤野には非常に多いので、ラミーの捕り方は分かっている。それにしても、もう15~16年もここに通っているのに、今まで全く見なかったこと自体が不思議だ。ラミーはカミキリとしては珍しく葉を後食するので、いたるところに非常に多くいる。一般的にはカラムシ(麻の代用品となる)やムクゲの葉に来るとされているが、私の経験では、クズの葉やアオジソに似た雑草や低木の葉など色々なものに来る。昨年は、たまたまであった及川さんたちのNPO法人の方と思われる方が、その日の採集でキマダラカミキリとラミーカミキリを捕ったという話を聞いて、どうもラミーカミキリというのは、他のカミキリと間違っているのではないかと記してしまったが、これは軽率すぎた。そういった自戒の念もあったが、ここにラミーカミキリが分布しているという事は間違いないといっていい。
 出だしのいい時は、その後はあまりよくないというのが、私のジンクスになっているので、少々不安になってクヌギの伐採木へ行ってみると、案の定、伐採木がほとんど無くなっていた。雑草に覆われていないか、小型のアリが入っていないか少し不安だったが、伐採木がほとんど無くなっているとは思いもしなかった。せめて、7月末位まであれば、とんでもないデータが得られたかもしれないのに、これはないだろうとつくづく落胆した。
 すぐにhanaさんに電話を入れたが、2:00過ぎに返信が来て、地権者から文句が来て、地権者側がすべて回収したとのこと。甲虫の事まで考えろとは言わないが、せめて陽光に晒して乾燥させないと使えないのだから、その後に動かすのが山里では常識だ。このようなNPO法人と地権者などとのトラブルはあちこちで聞くが、大池のような場所でも里山を守っていくのは大変なのだろうとつくづく思った。
 余談だが、あのクヌギ材に来ていた多数のクビアカトラカミキリは、東京の専門店では、標本でも2,000円位はする。少なくとも数ひょく等は来ただろうし、あの材の中には、さらに多くのクビアカトラの卵や幼虫がいるのだから、地権者も宝の山を自ら潰してしまったとは夢にも思っていないだろう。これは何処へ行っても同じで、クワガタやカブトムシだと皆捕まえるが、マニアの世界ではとんでもない値段のつく甲虫も多い。北海道の礼文島にしかいないレブンミヤマクワガタ(体も大型)や沖縄の沖縄マルバネクワガタ、高山帯のシラビソの森にしかいないオオトラカミキリなどは大きさにもよるが、3万円以上の値がつく。
 それでも、直径3cmから8cm程のものが12から13本残っていたので、それを1カ所に集めて定点採集をすることにした。時々ベニカミキリが来るが他のものは全くいない。クビアカトラカミキリはおろか、ゴマフカミキリさえいない。これはダメかと思っていたら、突然大きな羽音がしたので振り返ると、玉虫がすぐ後ろを飛んでいたので、反射的にネットで捕まえた。大型の個体なので、酢酸エチルの入っていない大型の毒管に入れた。(写真Ⅵ3-5、4,5欠)

 結局、PM2:00まで粘ってみたが、アカハナカミキリが採れただけで、

その後はいつものコースを行くことにした。「宍塚の自然と歴史の会」の中心となるプレハブ小屋には伐採木も少しあり、ヒメヒゲナガカミキリがペアを含め5頭来ていた。(写真Ⅵ9-10)これは、最近は何処にでもいるが、30年位前には今ほど多くなかった。環境の変化にうまく対応し、数を増やしているようだ。他にも、ハムシ、小型のゾウムシ、キマワリなども多くいた。また、この日は、クロナガタマムシが多く、特に、木の切り株に集まっていて(写真Ⅵ11-12)、その内の1頭だけを採集した。(写真Ⅵ13-14)

 果樹園では、ビワの枯れ木にエグリトラカミキリが多く、(写真Ⅵ15-18)7~8頭が来ていたので、2頭を採集したが、これはエグリトラが枯らしたのではなく、刈れたから産卵に来ていたので、誤解しないでほしい。ビワの木は昔は土浦の街中にもよくあったが、今はほとんど見ない。温暖化の為と思われるが、イチジクは今でもよくあり、果実も食べられるほど大きくなるので、こちらのほうが向いているのではないかと思う。

 その後は、ゲンベーヤマへと向かった。及川さんからの返信で、その付近には切り倒した気が何本もあるという事だったので、それを探すことにした。まあ、この付近はよく知っているので、まずは山の東側へ入っていくとすぐ新しい伐採木が5~6本あった。ケヤキのようだが、葉が枯れているのでよく分からない。しかし、温帯照葉樹には違いないので、静かに探ってみた。(写真Ⅵ19-21)



 すると、エグリトラカミキリが7~8頭来ている。これはしめたと思いしばらく見ていると、キイロトラカミキリが次々と飛来してくる。(写真Ⅵ22-26)

  
 これがPM3:00前後、中にはペアになるものもいるが、交尾の主導権は♀の方にある様で、気に食わない♂だと♀に振り落とされる。結局、13頭のキイロトラカミキリが来て、2ペアが出来た。ゲンベーヤマでは、キイロトラを初めてみたので、一応、2頭を採集した。やはり、こうしたマキ依存型カミキリは人間の手の入った雑木林などで無いと個体数は少なくなるようだ。立ち枯れの木や風や雪などで倒れる木もあるので絶滅はしないだろうが、マキ依存型カミキリの激減の要因は、温暖化ばかりではなく、里山や低山地に人手が入らなくなったことが一番大きいと思う。林道はおろか、けもの道さえ無い里山や低山地が多く、人が入れなくなった場所は全国にたくさんある。この土浦やつくば市近郊でもそういった場所は多い。ただ、さま里は何処に行っても過疎化が進み、年寄りしかいないので、どうにかしろといっても現実的には無理だと思う。
 その後は、林道へと入っていったが、余り目ぼしいものはいなかった。ただ、倒木にナカジロサビカミキリが7~8頭来ていた。(写真Ⅵ27)

 ここ大池付近ではナカジロサビカミキリが一番多いが、普通サビカミキリはアトモンサビとアトジロサビが多い。しかし、これも1~2週間で状況が全く違ってしまうので、簡単には断定できない。実際、毎年初めて見る種がいるわけだし、クビアカトラカミキリやラミーカミキリなど、茨城県にはいないだろうと思っていたものが、状況やその時の天候などの微妙な変化で沢山出てきたりする。考えて見れば、ここ大池も独立して存在している訳ではないので、道路で分断されてはいるが、上高津や下広岡、上広岡などここを取り巻く環境はかなり広い。「木を見て森を見ず」で、上空から見れば、私の歩くコースなどは実に限定された部分でしかない。それでは、甲虫を探しながら林道からせいぜい20~30m位入ったポイントを歩くだけでも6~7時間はかかる。コースを拡大すればもっと珍しいものもかなり採れると思うが、現実的には無理だ。やはり、身の丈に合った定点観測を続けることが大事だと思う。マニアとしては少しでも珍しいものを採りたいのだが、やはり、こういったデータというものは続けることが一番大事なのではなかろうか。
 その後、林を抜ける付近で、地味なピンク色の花を咲かせている低木にヨスジハナカミキリが1ペアを含めた6頭来ていたので、良型のものを1頭採集した。(写真Ⅵ28-30)
  
 他にも多くの花が咲いているのだが、どういう訳かこの木にしか来ていない。図鑑などで見ると、何々の花に集まるなどという記述は多いが、現場主義のマニアから見ると、だいぶ違っていることが多く、場所や周りの環境などによっても変わる。ハナカミキリはウツギ類や高原のシシウドなどに集まるが、これも、現場では違っていることもよくあり、何とも言えないというのがマニアの実感だ。また、帰りにヤハズカミキリを採った。(写真Ⅵ31)



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