2014年5月30日金曜日

2014/05/30 根本さんの甲虫ノート

5月30日(金) 晴れ時々曇り 18℃~29℃
 そろそろトラカミキリや他の伐採木に来るカミキリも出てくる頃になったので、大池に行ってきた。ここのところ、急に気温が上がり、暑い日が続くが、寒暖の差が大きく、虫の出を読みづらい。異常気象という言葉も、今や常態化してしまった。
 まず、いつものように、宍塚側から入り、今日のポイントとなるプレハブ脇の炭焼き用の伐採木へと向かう。入ってすぐの農道に花が満開の低木(注:イボタノキ)があり、クマンバチとマルハナバチなどが多数来ていた(写真①)。人にもわかるほど香りが強く、典型的な虫媒花だ。アオハナムグリと2頭のベニカミキリがすぐに目についた(写真②)。よく見ていくと、木の最上部にハナカミキリがいる。しかし、低木とはいえ、3mほどあるうえに、足場が悪くどうしようもない。その上、どこから見ても、逆光になってしまい撮影もできない。シルエットからすると明らかにツマグロハナではなく、型も大きく体高もあるのだが、太陽が真上に位置しているのでよく見えない。仕方なくネットを一杯に伸ばして、捕獲を試みたが、案の定、逃げられた。


 次に、伐採木へ行く前に、オニグルミのある広場周辺を探ってみたが、普通種のハムシ、ゾウムシ、カミキリモドキは多いものの、目ぼしいものはいなかった。ハルジオンの花も峠を越え、トゲヒゲトラカミキリ2頭とヒラタハナムグリが6頭いただけだった。伐採木手前の葉上で、青い光沢があり、赤い斑紋があるハムシをみつけた(写真③)。ハムシにしては見て事ないので、キノコムシかと思い捕まえてみると、斑紋の一部が落ちた。更にこすって見ると、結局、全部の赤い斑紋が落ち、ただのヨモギハムシが姿を現した。これはよくあることで、カビか粘菌のようなものが、甲虫の体表に付着し、全く違った甲虫に見えることがよくある。特に、カミキリやゾウムシに多く、この場合はオレンジ色のものが多く、赤いものはあまり見たことがない。

 さて、いよいよ今日の一番のポイントの伐採木だ。まず、太い幹の方から慎重にみていくと、クロハナムグリが産卵に来ていた(写真④)。通常、カナブンやコガネ、ハナムグリなどは、腐葉土に産卵するのだが、クロハナムグリは伐採木に産卵する。他の場所でも、シイタケのホダギに来ているのをよく見かける。

 幹の部分は、一部が雑草で覆われ、見にくかったが、しばらく見ているとウスモンカレキゾウムシやウグイスナガタマムシが多数来ているのは分かったが、肝心のカミキリの姿がない(写真⑤)。

 これは、持久戦だと思っていると、すぐ目の前にミドリカミキリが飛来した(写真⑥,⑦,⑧)。トラカミキリ程ではないが、これも動きが速いし、すぐに飛ぶ。先ずは撮影をした後で採集した。その後も、2頭のミドリカミキリが飛来したが、これは採らずにそのままにしておいた。



 しばらくここで定点採集をすることにし、1時間半ほど見ていると、エグリトラカミキリが3頭来たが、伐採木が複雑に絡み過ぎていて、採るのはもちろん撮影もできなかった。次に、細い枝の方の伐採木を見ると、ヒメヒゲナガカミキリが4頭(写真⑨)、太いツルの伐採木には2ペアを含む6頭のゴマフカミキリが来ていた(写真⑩⑪)。



 ここの伐採木は新しいので、まだ生木の状態だ(写真⑫)。その中の枝の割れ目に小型のカミキリを発見した(写真⑬)。V字型に裂けていて、一番深いところに触角だけが見えている。どうしたものかと思ったが、ピンセットでは採れそうもないので、自分で作った、このようなときの場合に役に立つ道具でどうにか捕まえた。10㎜位の小型種なので、その場ではないか分からなかったが、帰宅後調べてみると、テツイロヒメカミキリ(写真⑭⑮)と分かった。これは、以前、山梨県で2頭採ったことがあるが、茨城では初めてなので非常にうれしかった。




 気持ちも大分高ぶってきたところへ、今度はキイロトラカミキリが飛来した。これは、トラカミキリの中でも動きが早いうえに、すぐ飛ぶ。その上、枝が一番絡み合っている所なので、どうしようもなく、見ていると、すぐに飛び去ってしまった。その間、約7~8秒採るのはもちろん撮影さえできず、同定の使用も無かったが、しばらく大池でキイロトラをみていなかったので、まだまだ、この付近にもいる事が分かり安心した。このように、偶偶その時間帯に、特定の場所を見ていたからみつけたものの、その条件が少しでも違えば、今年はキイロトラは全くいなかったと記してしまうことになるので、このような記録もどこまで正確なのかと、吾ながら不安になった。
 その後はまたいつものコースに戻った。トイレ付近の伐採木にはヒメヒゲナガカミキリ3頭とクロナガタマムシがいたが、今更採る種でもないので、そのままにしておいた。池に向かう農道にはスキバジンガサハムシとイチモンジカメノコハムシ(写真⑯,⑰)が多く、大分食害された雑草(写真⑱)も多かったが、農作物を害するものではないので問題はないだろう。この仲間は15~16種程いるが、最近減少しており、愛宕山ではあまり見られなくなった。



 途中にはマルバウツギが咲いていたが、(写真⑲)小型のハナムグリとコガネ位で目ぼしいものはいなかった。

 伐採木にはヒメヒゲナガカミキリが多く、(写真⑳)ナカジロサビカミキリやアトモンサビカミキリが5~6頭いた。果樹園付近もハルジオンは枯れ、ヒメジョオンに取って代わられていた。もうツマグロハナカミキリの姿はなく、ヒメビロウドコガネ(写真㉑)、コアオハナムグリ、セマダラコガネなどのどこにでもいるものがいた位だった。その後もコメツキや(写真㉒)ハムシ、ゾウムシ、カミキリモドキは多かったが、大したものはおらず、カミキリもゴマフ位しかいなかった。



 林を抜けるとマルバウツギやガマズミが満開となっていて、他の低木もかなり花を咲かせていた。(写真㉓・㉔・㉕)その花上でムラサキツヤハナムグリを見つけたので撮影だけしておいた。(写真㉖・㉗)シラホシハナムグリにも似ているが体型が細く、シロテンハナムグリとは色彩が違う。最も多いシロテンハナムグリは、出現期がもっと遅く、樹液や果実にしか来ないので、ハナムグリというよりはカナブンに近い。その後も花は多いのだが、アシナガコガネやヒラタハナムグリばかりで気落ちしていると、何の変哲もない低木の枝からカミキリの触角らしきものが出ている。よく見るとキマダラカミキリ(キマダラミヤマカミキリ)ではないか。以前、もっと手前のクヌギ林で♂を採集しているが、こちらは触角が短く♀だ。美しい金色をしているが、木にとまっているとこれが保護色となり、意外と分からない。(写真㉘・㉙)何にしてもこの早い時期に出会うとは思っても見なかったので、少々焦ってしまったがどうにか捕まえた。始めと最後に思わぬ収穫があり、楽しい1日となった。








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