2012年6月18日月曜日

2012/06/18 根本さんの甲虫ノート

6月18日(月) 晴れ時々曇り 20℃~28℃
 3日前に梅雨入りとなったので、貴重な晴間。今年初めて大池に行ってきた。前日までの雨でトレッキングシューズも泥まみれ。低木の花もすでに盛りを過ぎているので、余り期待しなかったが、着くなり眼前をカミキリが横切ったので、反射的にネットで捕まえると、型のいいツマグロハナカミキリが入っていた。また、この近くの葉上でキバネカミキリモドキも採集した。
 伐採木はもうかなり腐朽が進み、アリが入っているのでゴミムシダマシ位しかいなかった。しかし、この辺り一帯はハルジオンの群落があり、よく見ていくと、ツマグロハナカミキリが2頭来てい た。今更捕っても仕方がないので、そのままにしておいた。
 今までの記録を見ると、5月下旬頃に、多数出現するが、6月にはほとんどいなくなるはずなのだが、自然相手だとデータだけでは説明ができない事は多くある。周りのポイントも一応見てみたが、カミキリやクワガタはまだ出ていないようだった。ハムシ、ゾウムシ、オトシブミなどは多く、愛宕山よりはずっといい状況だ。
 いつものコースを行くと、農道わきに直径20cmほどのコナラが根元付近で折れ、倒れていた。これは閉めたと思いよく見ていくと、多数のゴマフカミキリ、カレキゾウムシに混じって小型のカミキリがいるのを発見。下をネットでカバーして、慎重に採ると、シナノクロフカミキリだった。今まではトゲバカミキリなどよく似たものと混同していたが、今回のは間違いなくシナノクロフだ。このように出だしがいい時は、その後、何も採れない事が多いが、この後も、ゲンベー山の腐朽木でルリゴミムシダマシを採集した。低木の花は端境期であまり咲いていなかったが、林の中の折れた枝に、ミドリカミキリが来ていた。他にも、カオジロヒゲナガゾウムシ、オオゾウムシ、カレキゾウムシ、ヒメシロコブゾウムシなどゾウムシも多数いた。
 林を抜けるとカブトやクワガタがいるコナラとクヌギの大木がある場所へ出るが、さすがにまだこれらは出ていなかった。また、今日はこんなものかと思っていると、直径30cmほどのコナラの大木が、地上から2m付近で折れて、倒れていた。切断面は人為的なものではなく、枝に葉をついていないので、昨年の9月~今春の間に倒れたらしい。考えてみれば、ここから直線距離で15~16kmのつくば市北条で、多大な被害を出した竜巻があったのだから、このような太い木でも風の力で倒れて、不思議はない。
 それにしても、このような状況は、昆虫マニアからすると絶好なチャンスだ。暫く見ていたが、ゾウムシ位しかおらず少々がっかりしていると、PM3:00頃から陽光が射しはじめた。また陽光のせいばかりとは言えないが(他の場所で色々経験しているので)、すぐ目の前に、エグリトラカミキリが飛来した。これまでの大池での経験では、トラカミキリの出現期は5月下旬~6月10日位までがほとんぼだったが、この日は違った。すぐに、2頭が来たうえに、キスジトラカミキリまで飛来した。この時期に、大池でキスジトラカミキリを見たことはなかったので、少々驚いていると、私の顔にいきなりカミキリがとまった。慌てて手で捕まえると、何んと、キイロトラカミキリだった。’98年から大池に入っているが、キイロトラカミキリと会ったのは、これが2回目、しかも、全く時期が違う。相模湖や山梨迄行けばいくらでもいるのだが、そういった問題ではない。そうそうしているうちに、PM3:30~PM5:00位の間に、エグリトラカミキリ5頭、キスジトラカミキリ7頭、キイロトラカミキリ6頭が飛来し産卵を始めた。どれも標本は多数あるので、キスジトラカミキリ2頭とキイロトラカミキリ4頭を捕え、家でブリーディングするために持ち帰ることとした。
 ここから考えられるのは、甲虫には、それぞれ出現期があるのだが、その年の気温や場所によって1ヶ月程度の誤差は生じる。また、一定の条件、新しい伐採木や1~2年以内に倒れたり、折れたりした温帯照葉樹があれば、6月の後半でもトラカミキリは来るという事だ。また、これは他の場所で実証済みの事だが、トラカミキリはPM1:00~PM5:00位が最も多く出現する。このような事は、大池のような小さな里山で定点観察をずっとしていても、この倒木が無かったら見過ごしてしまうのだから、特定の里山や雑木林でも、そこに一体どのくらいの甲虫がいるのか、簡単には言えない事がよくわかった。
 それにしても、この小さな里山の生態系の豊かさには驚かされる。観光化し、自然の中の「いやし」を売りものにしている愛宕山は、甲虫に関してはもうダメだと言わざるをえないが、ここ大池には、まだまだ豊かな生態系がある。できれば、ここを永遠に残しておきたいが、おそらくここも開発という名のもとに破壊される日が来るだろう。


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